TENGA ドクターのblog

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梅毒

梅毒はなぜ感染者が増え続けるのか?

昨年の梅毒感染者は7000人を超えて10年前と比較すると8.5倍に増加しています。


このブログでもたびたび書いていますが、今回は増加する原因についてです。

 

鹿児島県も梅毒患者が増加しています

 

増加し続ける梅毒感染!その対策とは?

 

梅毒は他人事ではありません

 

 

まずは梅毒の感染力

ペニスや口腔内のしこりや潰瘍と接触した場合は感染してしまいます。

もし口腔内に症状が出ていればキスや口移しでも感染してしまう可能性があるということです。

感染力が強い時期は第1期から第2期と呼ばれる感染してから4週から12週の間。

この感染力が強い時期が長いというのも感染者数が増加している原因になります。

 

増加する前までは梅毒は同性愛者の感染症とも言われていました。

でも今は異性間での感染が激増しています。
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同性愛者は性行為におけるリスクを十分に知っている人が多いのですが、異性間交渉をしている方は他人事と思っている。

これが一番厄介。

「まさか僕が!」

なんてことはよくあります。

 

性器への症状は軽症の場合があることや自然に症状が治ってしまうことから、12週ぐらい経過したあとに全身に発疹が出て医療機関を受診される方が多いのが現状です。

その場合は症状が出てから2カ月もの間に誰かに感染させている可能性があります。

 

治療に関してもペニシリン系の抗生物質を最低4週間内服しないといけません。

でも保険診療上2週間しか抗生物質は処方することができません。

なので2週ごとに通院する必要があるのですが、来ない人もいる。

数日薬を飲んで症状が改善したら飲まなくていいと思っている。

 

でもしっかりと内服しないと感染力を持った梅毒が気づかないうちに全身へ広がっています。

 
治っているかどうかの判定は血液検査で梅毒の抗体検査です。

症状による治療判定ができないことが梅毒の厄介な点です。


性交渉ができる出会いの場が多様化していることも原因でしょうね。

 

様々な理由があり、梅毒患者さんは増加する一方です。

このままでは5年後10年後に全身にゴム腫というしこりが出たり、脳や心臓にまで感染したりする人も増加するでしょう。

 

僕から言えることは「とにかく検査しましょう!」のみです。

感染するリスクがある人であれば保険適応となり初診料も併せて3000円程度。

保健所などの無料検査でもOK

 

性病に関してはすべて言えることですが、

感染したときは被害者かもしれないけど、感染した後は加害者になりうる!


ぜひ多くの人に検査を受けてほしいと思います。

鹿児島県も梅毒患者が増加しています

梅毒患者数の増加はニュースや記事になっており知っているとは思います。

平成30年は全国の患者数が7000人程度まで増加しています。

でもみなさん他人事と思っていませんか?

今回は鹿児島県の現状について説明します。

 

ちなみに梅毒と診断した医療機関は必ず保健所に報告する義務があります。

でも報告していない医療機関もあると思いますので実際のデータよりも多いかもしれません。

 

では鹿児島県の状況。

梅毒鹿児島

平成29年は21人、平成30年は51人と2.4倍の増加です。

全国患者数は1.5倍増なので全国平均よりも増加のスピードが速いことが分かります。

 

この図では1年を4つに分けて10月から12月までの3カ月間を1年前と比較したものです。
梅毒2

これによると2人から16名と8倍も増加しています。

これは全国トップの伸び率です。

 

全国の中では患者数が少ないので比較はできませんが、確実に鹿児島にも梅毒の波がやってきていることになります。

 

東京・大阪・福岡などの大都市で増えていた梅毒感染者が地方にも拡大しています。

 

都市部で性風俗店を利用した男性が地方に持ち帰っている可能性が高いですね。

当院で診断した人の感染経路のほとんどは性風俗店でした。

鹿児島の性風俗店で感染した人もいます。

 

こんなデータもあります。

梅毒1

診断された人の中で男性の5人に1人、女性の3人に1人は無症状でした。

 

検査をしたら梅毒だったってことです。

怖いですよね。

 

こうやってどんどん広がりつつある梅毒。

感染すると2カ月も13回の薬を飲まないといけません。

完治はするけど大変です。

 

鹿児島のような地方にも感染拡大しており今年も感染者は増えることが予想されています。

 

気になる人はすぐにでも医療機関を受診して検査をしましょうね!

梅毒の歴史

現在流行している梅毒。

今回は梅毒の歴史について紹介していきましょう。

 

梅毒が日本で初めて記録されているのは1512年。

すでに500年以上経過しているという非常に歴史のある感染症です。

 

この梅毒の治療としてペニシリンが有効であることが1943年に確認され、現在もペニシリンが標準的な治療となっています。

1943年までの400年は梅毒の治療はできなかったんですね。

 

よって「解体新書」の著者である杉田玄白は「梅毒患者の治療がとても難しく、患者1000人中700800人が梅毒患者であった」と記しています。

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その頃の梅毒は末期まで進行して全身にしこりができたり鼻が欠けたりして多くの人が命を落としていました。

江戸時代の遺骨に鼻の骨が欠けたものが発見されていることが証拠です。 

ちなみに梅毒はコロンブスがアメリカの原住民との性交渉で感染しヨーロッパに持ち帰ったことで世界中に広まったという説があります。

その後大航海時代に突入してバスコ・ダ・ガマらがインド、そして中国へ上陸するとともに梅毒も上陸しました。

その後は中国と日本の貿易(日明貿易)により吉原などの遊郭を中心に日本でも流行したのです。

先ほど述べたように日本で記録されたのは1512年。

皆さんが知っている種子島への鉄砲伝来は1543年ですよね。

梅毒は鉄砲よりも前に日本に入ってきたものだったんです。

 

セックスのパワーってすごいです
港に着いたら性欲を発散しまくっていたんでしょうね。

もちろんコンドームなんて無い時代ですから性感染は防ぎようがないですね。

 

1948年の日本に20万人以上いた梅毒患者はペニシリンと言う治療薬のおかげで患者数は減り続けました。

1990年代の患者数は1000人以下にまで減少し我々医師も梅毒患者さんを診察することは非常に少なくなっていました。

 

しかし2010年以降梅毒患者は増加し今年は7000人を超えています

 

梅毒の主な感染ルートは性交渉ですので、性交渉のきっかけが多様化していることが原因であると思われます。

 

今後患者数が1万人当たりで落ち着かせるには政治的な介入が必要です。

 

米国では2016年の淋病クラミジア梅毒の総患者数が過去最多の200万人を超えました。

米国での性感染症の流行は出会い系アプリなどでの不特定多数との性的接触が増えたことであるともされています。

よって日本でも梅毒と同じく淋病クラミジアも今後増加してくる可能性があります。

 

性風俗店の規制を行うことや保健所の無料検査の拡大や一般市民への啓蒙をしっかりと行い流行を食い止めないといけません。

 

みなさんも性風俗店を利用した場合は性病検査を受けましょう!

 

 

 

梅毒は他人ごとではありません!

梅毒に関する記事は以前書きましたが流行状況が分かったのでコメントとして書きます。

前回の記事はこちらから。

 

まずこの資料を見てください。

昨年と今年10月までの鹿児島市の梅毒発生状況です。

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昨年と今年では患者数は約2倍に増加していることが分かります。

特筆すべきこととしては女性の患者数が111名から11名)となっています。

女性患者の詳細は不明ですが、性風俗関連の仕事をしている方(コマーシャルセックスワーカー:CSW)だけではなく一般の女性への感染も増えてきています。

これが非常に厄介なんです。

 

男性はペニスに潰瘍やしこりができた時点で気づくことがありますが、女性は陰部を確認する人が少ないため発症に気づきにくい。女性が気づきやすい全身の発疹が出たときには第2期となり、感染から3カ月経過している状態となっています。

もしそれまでに誰かと性交渉していれば梅毒感染者を増やしている可能性もあります。

 

近年は出会い系アプリを利用し性交渉を行う方も増えています。

そういったワンナイトラブの相手とは連絡が取りにくいので、感染したことを伝えられないことも感染者を増加させる原因になっています。
またその方が家庭内で感染させることも問題です。

 

梅毒は感染から発症まで1か月、検査で陽性となるのも1か月程度必要となります。

その間に感染者を増やす可能性もあります。

 

梅毒の流行は地方である鹿児島でも他人事ではないことがわかりますよね。

全国でも増加の一途をたどっていますので、もっと多くの情報提供や注意喚起がなされるべきです。

海外渡航者から日本に入ってきたことが注目されていますが、すでに性風俗店従事者以外の日本人で流行していることが非常に危険です。

 

この資料も見てください。
梅毒1
梅毒2

以前は同性間での梅毒感染が多かったのですが、男女ともに異性間での感染が急激に増加しています。

梅毒の検査や治療法が確立していても患者数が増加しているということは、今後も増加することが予想されます。

 

この感染流行を食い止めるのはどうすればいいのか?

皆が検査をすること!
不特定多数の人と関係を持たないこと!

 

でも無理でしょうね。これだけスマホ一つで男女が出会えてセックスできる時代

抑制は困難です。

淋病やクラミジアは1度の治療でほとんどの方が治るのに対して、梅毒は長い人で3カ月間も薬を飲まないといけません。
仕事をしている人にとって医療機関に2週間に1回来るのは大変なことですが、仕方ありません。


梅毒に感染したのは自分のせい、感染者を増やさないためにもしっかりと治療するべきです。


 

ここからは梅毒の症状の写真を掲載しますので、参考にしてください。

スライド1

スライド2

第1期は感染してから3週間
感染した部位に図に示すようなただれや硬いしこりができます。
また脚の付け根周囲のリンパ節が腫れることもあります。
この症状は痛みがないことが多く自然に治ってしまいます。

スライド3

スライド4
感染してから治療せずに3カ月経過すると病原体が全身に回り第2期に入ります。
この段階では手のひらや足の裏、全身に赤い発疹(バラ疹)が出てきます。
これも自然に治ってしまいますが、治療しないと何度も再発します。

ここから3年以上経過すると皮膚・筋肉や脳にゴム腫と呼ばれるしこりが出てきます。
こうなると10年ほど経過し脳や心臓にまで病気が進行し命を落とす危険もあります。

現在はペニシリンを用いた治療がありますので末期まで進行することはありませんが、検査をしないと発見できません。

明日の梅毒の歴史の記事も参考にしてください。

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