皆さんはどう思いますか?
平成の性を語る上で欠かせないこと・・・それは「エイズ」です。
昭和60年にエイズ患者が初めて日本で診断されました。
それを機に性教育でエイズを含む性感染症の知識を教えるべきだという論争が巻き起こります。
そして平成4年に学習指導要領が改訂・施行されて小学校から性教育が行われるようになります。
この年はまさに「性教育元年」と呼ばれています。
昭和の終わりのバブル時代は金も性も乱れて、性風俗店はめちゃくちゃ繁栄していました。
そんな時代から「エイズ」を機に性教育は変わりました。
さまざまな性教育の団体も立ち上がり、1990年代は性教育に工夫がされていました。
そして2001年には「すこやか親子21」という母子保健の取り組みが策定されます。
ここでは思春期の保健対策の強化と健康教育の推進が掲げられ、10代の人工妊娠中絶率の減少や性感染症の罹患率減少が目的となりました。
非常にいい流れで性教育が変わってきた中でとある事件が起こります。
2002年とある学校での「行き過ぎた性教育」が国会やメディアで話題となりました。
その性教育とは小学校で性器の名称を教えること、中学校で性交や避妊法を教えることです。
世間からかなりのバッシングを受け、その学校の校長を含む教職員は処分されました。
この事件以降、学校での性教育は衰退していくこととなります。
そりゃ当たり前ですよね。
良かれと思って工夫しながら性教育をしていたのに、世の中からバッシングを受けないためのおもしろくない性教育に変わってしまいました。
それが現在の性教育へとつながり、学習指導要領から逸脱しないようになっています。
例えば「生命の誕生」や「性感染症の予防」や「望まない妊娠をしないために」なんて言うことしか学校では話すことができません。
それもすべて世間からのバッシングの影響です。
では現実問題として性教育の効果は出ているのでしょうか?
このように増加の一途をたどっているのです。
エイズ・HIV感染は世界的な社会問題なので、性教育の効果は期待できないでしょうね。
では人工妊娠中絶件数は?
内閣府男女共同参画局HPから引用
人工妊娠中絶件数は年々減少しています。
見にくいですが、20歳未満の中絶件数は平成13年を境に減少しています。
と言うことは性教育の効果があったととらえるべきでしょうか?
平成13年それはイチローがメジャーデビューし、小泉純一郎が総理大臣になった年。
Windows XPも発売された年でもあります。
ドコモでi
modeの利用が始まったのも平成11年。
なんか世の中が変わっていくような気がしていた時代ですね。
インターネットが身近になりスタービーチ(スタビ)やワクワクメールなどの出会い系サイトも増加してきました。
登録して楽しんだ人も多いのではないでしょうか?
そして平成16年にはFacebookも立ち上がりSNSが普及します。
これで一気にネットで人が繋がることが認識され多くの人が利用しました。
過去の同級生と繋がりセックスをする、過去の彼や彼女と繋がりセックスをするなど性の出会いは非常に増加しました。
性は乱れる方向に進んでいきそうですが・・・
人工妊娠中絶は減少している。
ということは性教育の一定の効果は出ているんじゃないでしょうか?
もちろんまだまだ望まれない妊娠をしてしまう方もいるので「効果ない」と感じるかもしれません。
ではエイズ以外の性感染症患者数の推移を見てみましょう。
クラミジア感染者
淋菌とクラミジア感染者数はどちらも2003年(平成15年)から減少してきています。
エイズと梅毒は増加していますが、そもそも患者数が少ない。
淋菌クラミジアは毎日のように感染する患者さんがいらっしゃる身近な性感染症。
その淋菌クラミジアが減少しているってことは、ある一定の性教育の効果ではないでしょうか?
他の理由としては性風俗店数の減少があげられてもいますが・・・
とここで、僕が何を言いたいのか?
性の環境は以前より改善されているってことです。
現在のネット社会において性の世界は15年前よりはオープンになってきていると感じています。
それは単に性のことを発言する人が増えてきていることです。
女性が多いのですが、性被害を受けた方や風俗嬢の方、一般の方などさまざまな人が発言しています。
男性であればAV関係の方が情報発信されています。
これは「AVはファンタジーである」と言う観点からの情報発信なので、自分の職業を否定しているように感じてので少し違和感を覚えますが・・・。
まぁ性のことを発言する男性はセクハラにつながることがあるので、なかなか言えない現実もあります。
とにかく性のことを発言するということは非常にリスクが高いので、今まで多くの人が避けてきたことです。
もちろん世の中からのバッシングやエロい人と思われると言ったこともリスクになります。
そんな中で直接顔が見えないネットと言う特性を生かし、性を語る人が増えています。
中には「今の性教育を否定し改善すべきだ」と発言も見受けられます。
もちろん僕も性教育をより良く変えないといけないとは感じていますが、現状の否定はできません。
なぜならば、しっかりと国が定めた目標である性感染症の減少や人工妊娠中絶件数の減少といったことをクリアしているからです。
現在小中学校や高校で性教育を行っている方は学習指導要領内でできる限りの工夫をして頑張っています。
そして学校内で性の悩み相談を受けている先生たちもいます。
確かに僕は性教育を受けたものの残っている記憶はほとんどありません。
なので性教育って意味ないなと思う気持ちもわからなくはない。
だからと言って否定してしまうことはよくありません。
性教育は平成でいろいろな事件があり苦難を乗り越えてきて、だいぶ改善されてきています。
そして今後は変わっていくことを期待しています。
言いっぱなしはよくないので、僕の理想の性教育を述べます。
今の性教育は年に1回あるぐらい。
みなさん年に1回聞いた講演の内容を理解し覚えることができますか?
そんなことですべてを理解し記憶するのは困難ですよね。
そこで性交の話などしてしまうと興味がセックスのことだけに集中し、避妊や性感染症の話は覚えられなくなります。
だからまずは性教育の時間数を増やすべきです。
時間数を増やすとなると内容は必然的に充実してきます。
教員の負担も多くはなると思いますが、国の政策として内容を変えるより時間数を増やすことが一番効果的だと思います。
余談ですが、そもそも保健体育なんてものは保健とスポーツに分けるべきですよね。
そして性の相談ができるような環境を学校内に作ること。
教育は受けても悩みと言うものは減らない。
現在は性の悩みをネットで調べて自分勝手に解決してしまいがち。
それは間違った情報を鵜呑みにして解決になりません。
性の相談を受ける先生はネットを通じて性のプロと繋がっておく。
そうすると先生自身が判断に困ったときの相談場所ができる。
地方であってもネット環境だけ整えば信頼できる性のプロに相談ができる。
この2点を変えるだけですごく良い効果が生まれると思いませんか?
国の政策として性教育をより良く変える方向に向かってほしいですね。
性教育はさまざまな研究団体があることも足並みがそろわない理由にもなっています。
歴史的な流れもあり統合することは難しいかもしれませんが、ぜひともみんなで協力して性教育を変えていきたいですね。
平成と言う時代で良くなってきた性教育にもっと革命を起こすために!
最後に・・・
僕一人では性教育は変えられません。
大人の性教育はやっていますが、一番大事なのは未熟な若者への性教育です。
性教育改革を国策として行っていただくためにも生涯通して性の情報提供を行い、地道に頑張っていこうと思います。