膣内射精障害の話はたくさんしていますが、今回は患者さんやパートナーの苦しみについて書きます。
膣内射精障害の方に対してどう思いますか?
「不適切なマスターベーションしているから悪いんでしょ?」
「癖を治せば射精できるようになるんでしょ?」
そんな簡単なことではありません。
癖ってなかなか治らない。
あなたにも癖があると思いますが、治すことはできますか?
治そうとしても強いグリップや脚ピンっていうのはついついやってしまいがちです。
それは快感を伴うから。
マスターベーションするのは性欲処理が目的。
リハビリ目的のマスターベーションと言っても射精できないのは地獄です。
大変苦しい思いをして癖を治さないといけない理由が必要です。
その理由となるのが不妊です。
不妊は膣内射精障害の方が病院を訪れるきっかけにもなっています。
その際はパートナーとともに不妊クリニックを受診するのが一番多いと思います。
では不妊クリニックで膣内射精障害の治療に対応しているでしょうか?
先日こんな悩みを訴えた方がいました。
「精液検査をしたいけどパートナーが膣内射精障害なので精液をカップにとれない」
この方のパートナーは床オナなので、コンドームやオナホをかぶせないと射精できない。
でも不妊クリニックでは膣内射精障害であっても
「精液ぐらい出せるでしょ」
なんて気持ちで精液を提出するように説明します。
精液検査の時はコンドームやオナホに入った精液を提出するとローションなどの物質により検査に誤差が出てしまうことから推奨できません。
では床オナの人にはどうしたらいいのでしょうか?
あくまでも僕の考えですが・・・
コンドームでもラップでも出してもらって検査をすべきだと思います。
不妊治療の場合まずは男性側に精子がいるのかいないのかが重要です。
コンドームには殺精子剤など入っていませんので、精子の存在ぐらいは確認できます。
実際に僕もコンドーム内に入った精液を検査しましたが、運動率は問題なく計測できました。
でもお勧めとしてはラップですね。
亀頭をラップでくるんで射精しカップに入れたら大丈夫です。
膣内射精障害は精液検査ひとつでも大変なんです。
膣内射精障害の患者さんに多く接しているはずの不妊クリニックが結局は精子と卵子しか見ていない。
不妊クリニックは挙児を得るという非常に重要な役割ですが、せっかくならば性生活も含めてケアしてあげるべきではないでしょうか?
もちろんすべての不妊クリニックがそうではありません。
ごく一部のお話です。
膣内射精障害に対して治療をしていますが、残念なことに治癒率は30%程度とかなり低いのが現状です。
だからと言ってあきらめるわけにはいきません。
私の経験としては若い人ほど治癒する。
だから若い人たちにどうやってこの病気を理解してもらうか?
若いうちから治療することの重要性を訴え続ける必要があります。
セックスがうまくいかないのは相性が悪いからではありません。
もしかしたら膣内射精障害かも。
それを指摘できるのはパートナーしかいません。
是非とも多くの男性が不適切なマスターベーションから解放され、膣内射精障害で苦しむカップルが減ることを願います。
ブログに投稿されている記事を何件か拝読いたしました。
その中で治療などは早ければ早い方がとのことを記されていたと思いますが、本人(男性)が現実を直視できていない場合にはどのように意識が向くように持っていったらいいのでしょうか。
私は女性ですが、お付き合いしている相手が少なくとも1年は行為が出来ていないに等しい状態のため受診を強く勧めたいと考えています。
しかし、男性にとってはプライドもあることでしょうしと言葉を慎重に選べば選ぶほど伝わらないことに疲れてしまっています。
過日不発に終わった際に「仕事環境の変化とかで身体に影響が出てるのかもしれないし、病院に掛かってみてもいいかもね」というような伝え方をしてみたのですが、「自分でやる時は大丈夫」と拒否されました。
男性として、専門医として“こんな勧め方をすると受診しようと思いやすいです”でも“その姿勢なら諦めた方がいい”など、ご意見をお手すきの際で構いませんので賜れたら有り難く思います。
最後になりますが、夏を思わせる気温などでお疲れかと思いますがご自愛ください。