1999年(平成11年)3月23日に日本でバイアグラが発売されました。
その開発はちょうど平成3年ぐらいから始まったとされています。
もともとは狭心症の治療薬として開発されたバイアグラ。
1990年代前半から臨床試験を行ったところ狭心症の治療薬としては効果が出ず試験は中止となりました。
試験中止を受けて被験者に対して薬剤の返却を求めたところ、拒否するということが起こりました。
拒否した理由は陰茎の勃起力が向上したことでした。
それを聞いた大手製薬メーカーのファイザーはED治療薬としての開発を進めました。
そして1998年(平成10年)にバイアグラがアメリカで販売開始となり、あっという間に「話題の薬」になりました。
勃起は薬で取り戻すことができる!
絶対に治らないという意味の勃起不全(インポテンツ)という言葉を勃起障害(ED)と変えてしまったのもバイアグラの影響です。
アメリカで販売されてすぐに輸入代行により日本にもバイアグラが入手できるようになりました。
そうなると副作用による死亡症例も出てきました。
狭心症の治療薬で血管を拡張する作用があるニトログリセリンを内服している方がバイアグラを内服して心不全を起こしたのです。
慌てて救急医学会や循環器学会がバイアグラとニトログリセリンを同時に内服しないように声明を出したほどです。
それぐらい急速に日本に入ってきたんですね。
そして厚生省も動きました。
なんと日本での臨床試験を実施せずに日本での製造販売許可を出したのです。
結局アメリカの販売から半年後には日本でも販売されました。
すごいスピード感ですよね。
対して女性の経口避妊薬であるピルは海外から10年以上たってからの承認が下りています。
各省庁の役人もバイアグラが欲しかったのかもしれませんね。
こんな経緯でバイアグラが販売された後は、レビトラとシアリスが販売されています。
その後は世界的にもED治療は画期的な薬が無いままです。
平成においての勃起は「オトコが自信を取り戻した時代になった」ということが言えます。
病名まで変えてしまうほどの時代ですから、すごい進歩ですよね。
現在ではED治療薬であるPDE5阻害薬は肺高血圧症や前立腺肥大症の治療薬としても使えるようになってきています。
血管機能を改善させる薬として今後も開発が進んでいくと思われます。
30年前は全く治療できなかったED。
バイアグラが効果ないと言って文句を言うのは贅沢ですね。